椎間板ヘルニアを起こす原因
椎間板ヘルニアをもう少し詳しく
椎間板ヘルニアとは
椎間板内部の髄核が飛び出してしまうものの事を言います。
しかし、椎間板が飛び出ているだけなら、大した問題になることはありません。問題なのは、飛び出したものが神経を圧迫することにより、坐骨神経痛などの問題が生じるのです。
椎間板ヘルニアのタイプ
脱出型=繊維輪に亀裂(ヒビ)が入り、そこから中の髄核が繊維輪を完全に飛び出す
完全脱出型=飛び出た髄核のかけらが、椎間板の中にある髄核と分離してしまう
膨隆型=繊維輪に亀裂が無く、髄核が繊維輪から飛び出さず、髄核と繊維輪が一緒に膨れ出る
一般的には膨隆型ヘルニアが多い(特に若い人)
椎間板ヘルニアの多い場所
腰椎4番と5番の間(L4 L5) 腰椎5番と仙骨1番(L5 S1)の間のヘルニアがもっとも多い
椎間板ヘルニアの治療、予防対策に、正しい姿勢を!
悪い姿勢は、背骨に負担がかかるばかりでなく、体に様々な悪影響をも及ぼします。
「日常生活において、正しい姿勢をとり、いかに腰に負担をかけないようにするか」
椎間板ヘルニアを含む多くの腰痛の治療や予防対策、再発防止の第一歩は、「正しい姿勢」にあります。
いくら治療をほどこしても、姿勢が悪いと、またすぐに腰が痛くなってきてしまいます。
正しい姿勢が出来ている人は、見た目にも美しく映ります。
ぜひ、この機会に、正しい姿勢を身に付けていただき、椎間板ヘルニアの予防・対策に役立てほしいと思います。
クチうるさく、何度も繰り返して申し訳ないですが、椎間板ヘルニア含む、多くの腰痛は未然に防げる可能性が高いのです!
■中腰での前かがみに注意しましょう。
中腰での前かがみの姿勢に注意しなければいけないのは、なぜでしょう?
答えは、私達の体にかかる力です。
人間の腰にかかる力は、体重70Kgの人の場合、立っているだけで100Kg。軽くおじぎをした状態で150Kgの力がかかるのだそうです。
■それぞれの正しい姿勢と、チェックポイント
これから、それぞれ正しい姿勢についての説明を行うわけですが、最初に、ポイントとなるものを、書き記しておきます。
1 意識しすぎて「極端な形にならないこと」
2 基本は、「頭の真中から、体が糸で吊られている感覚」
3 「同じ姿勢を長時間とらない」
以上、3点を、まずは覚えておいて下さい。
●立った時の正しい姿勢
頭の真上から、体が糸で吊られている感覚で軽くアゴを引き、背筋、膝をキチンと伸ばします。
真横から見た場合、耳から肩・股関節・膝・くるぶしを、結んだ線が直線で描かれていることが、一般的には、良いとされています。
▼ 壁を利用した簡単なチェック方法
背中を壁にあてて、立ちます。この時、後頭部・背中・お尻・かかとが、壁につく状態が、正しい姿勢の目安になります。
長時間立っている場合は、時々体を動かして、少しでも姿勢に変化を与えてやりましょう。
チェックポイント!
□ 体が反り過ぎていませんか?
□ 猫背になっていませんか?
□ あごをひき過ぎていませんか?
□ 胸を張りすぎていませんか?
(出っ張らせるのではなく、胸を開く感じ?)
□ ガニマタで立っていませんか?
□ 片方の足だけ重心がかかっていませんか?
●座る時の正しい姿勢
▼椅子
座る場合は、お尻が背もたれに密着するよう、深く腰掛ける。軽くアゴを引き、背筋をのばして、お腹をひっこめます。ひざがお尻より、ほんのわずかに高く、足の裏がぴたっりつくのが理想です。
イスが高すぎる場合は、足を台にのせるか、ひざを組んで膝の位置を調節します。
▼座敷・床に座る場合
正座で座りましょう。あぐら・足を投げ出して座ることは腰に負担をかけます。正座が出来ないときは、柱に寄りかかるなどして、腰にかかる力を柱に逃がしましょう。
▼お風呂の椅子
小さく低いイスがほとんどです。これは、腰によくありません。シャンプー時など、前かがみになる場合は、片膝をつき、もう一方の膝を立てて行うと良いでしょう。
チェックポイント!
□ 椅子の前の方に座っていませんか?
□ 足を投げ出していませんか?
□ 極端に高かったり、低い椅子に座っていませんか?
□ 柔らかすぎるソファーに座っていませんか?
□ 20分に一度は、立ち上がって腰を動かしていますか?
□ 畳の上では、あぐらを組んで座っていませんか?
●車の運転時の正しい姿勢
基本的には、イスの時と同じです。
膝が股関節(足の付け根)より、少し高くなるように、車の座席を前に進め、ハンドルと体が離れすぎないように調節します。
座席に着くときは、横向きでお尻から入り、それから足を入れ前向きになります。降りる時は、横向きで足から外に出し、立ち上がります。
チェックポイント!
□ 浅く座っていませんか?
□ 座席を後ろに押しやっていませんか?
□ 1〜2時間に1回は、休憩を取って腰を動かしていますか?
●重いものの持ち方。
ヒザを曲げる・腰を落とす・体に密着させる!
一度しゃがみこみ、腰を曲げないで、体全体で持ち上げるようにします。
ひざを十分に曲げ、腰を落として(お尻を落とす)。荷物を出来るだけ体に引き付けて持ち上げます。荷物をお腹に抱え込状態で、足の力で立ち上がります。
荷物を運ぶときは、荷物を体に密着させて、運ぶようにしましょう。
チェックポイント!
□ 中腰になっていませんか?
□ ひざを十分に曲げて、腰を落としていますか?
●寝る時の正しい姿勢
十分リラックスできる姿勢が基本ですが、うつぶせの状態で寝る事は避けましょう。
痛みがある時の寝方は、横向きでやや前かがみ(横向きエビ型)の姿勢で寝るのが一般的には、楽な寝方と言われています。
仰向けの場合、ひざの下に枕などを置いて寝ると良いでしょう。
寝具にも気を使いましょう。やわらかいベッドや高すぎる枕だと、腰が落ち込んで反り過ぎてしまい、背骨が不自然に曲がってしまいます。
やわらかすぎる布団やベッドは、背中とお尻が落ち込み、腰椎は前方への彎曲が強くなりすぎてしまいます。又、寝返りもうまく出来ません。(腰痛もちには「せんべい布団」とよく耳にしますが、この様なことから言われるわけなのです。)
理想的な寝具とは、背中・お尻が落ち込みすぎない。適度な硬さを持ったものが理想と言えるでしょう。しかし、寝たきりの御老人などには、床ずれになりやすいなど、寝具選びは難しいところです。
畳の上に敷布団を敷いた寝方がおすすめです。ベッドの方は、マットレスの下に、硬い板を敷くのも良いでしょう
チェックポイント!
□ 柔らかすぎる寝具を使っていませんか?
□ うつぶせの姿勢で寝ていませんか?
□ 背中・お尻が沈みすぎていませんか?
●歩き方
頭の真上から、体が糸で吊られている感覚で
「前に出した足のかかとから着地し、足の親指で地面を蹴る」が、基本です。(かかとから着地する時に、力んだり勢いをつけて着地しないこと。膝を痛めます)
つま先を軽く開いて(10度位)直線上を歩くように、意識しましょう。
ついでですが、呼吸は吐く方を重視しましょう。
チェックポイント!
□ 体を斜めにして歩いていませんか?
□ 背中を丸めて歩いていませんか?
□ 体が反り過ぎていませんか?
□ ズルズルと、靴を引きずったりしていませんか?
□ 内股・ガニマタで歩いていませんか?
●その他、日常生活での正しい姿勢
▼ 料理・洗い物
なるべく調理台に近づき、まっすぐに立ちます。足元に15センチから20センチくらいの台をおいて、片足ずつ交互にのせて行うと楽です。
▼ お掃除
掃除機の柄を、出来るだけ長くのばして、前かがみの姿勢にならないよう注意します。
掃除機は細かく前後に動かし、大きな動作は避けましょう。片方の足を前に出して、体重を支えると良いでしょう。
▼ トイレ
洋式トイレの方が負担が少ない。
▼ 自転車
競輪選手がレースで使う様な、前傾姿勢になる物は良くありません。
以上、正しい姿勢について簡単にですが、説明してきました。
日頃から、正しい姿勢を意識して、椎間板ヘルニアの治療・予防対策、再発防止に役立てて下さい。
●プロの目で、正しい姿勢をチェックしてもらう事も、治療改善の早道
一言に、「正しい姿勢」と、言っても、自分自身では、正しい姿勢のつもりでも、他人に客観的に見てもらうと、なっていない事が多々あります。
整体、鍼灸院(はり・きゅう)や接骨院(整骨院)では、姿勢チェックや姿勢指導を、治療の一環としてアドバイスしてくれます。
これら、治療院のプロの目による、客観的なアドバイスも、椎間板ヘルニアの治療や予防対策、再発防止への早道に役立ちます。
** 腰痛ナビより **